線維筋痛症・リウマチ性多発筋痛症とは?
繊維筋痛症とは全身に筋肉痛や疼痛を伴う原因不明の慢性疾患です。リウマチ性疾患に分類されることもありますが、リウマチ性多発筋痛症は免疫系が正常な筋肉組織を攻撃して炎症を起こす自己免疫疾患であり、繊維筋痛症はそのような所見が見られないため現状では別の疾患と考えられています。ただどちらも「体のあちこちが痛い」という症状は共通しており、働けない、外出できないなどの困りごとを抱える方も多くいらっしゃいます。今回はそのようなお悩みをお持ちの方に、障害年金について詳しく解説してまいります。
障害年金とは?基本的な仕組みを解説!
障害年金とは精神障害や重度の怪我、病気によって日常生活や就労生活が制限される場合に受給できる年金のことです。
発達障害や視力障害のような生まれつきの障害だけではなく、うつ病や癌といった突発的な病気でも受給対象になります。受給対象になる病気の一例は、以下のとおりです。
発達障害 | 自閉スペクトラム症、LD、自閉症、知的障害 等 |
身体障害 | 肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、内部障害、人工股関節 等 |
精神障害 | うつ病、統合失調症、双極性障害、てんかん、高次脳機能障害 等 |
病気 | メニエール病、癌、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患 等 |
上記に記載されていない病気や障害であっても、日常生活や仕事に支障が出ている場合は受給対象となるケースがあります。
年金と聞くと65歳以上がもらうお金という印象がある人もいるかもしれませんが、障害年金は65歳からもらうことができる老齢年金と違って自分自身の健康が万が一の際に生活を支援してもらえる国が運営する社会保障制度になります。
そのため65歳未満の方でも対象になるうえ、人によっては働きながら障害年金を受給することが可能です。
障害年金をもらうためには、
①初診日を明確にすること
②保険料の納付要件をクリアしていること(きちんと保険料を支払っていること)
③障害の程度が認定基準に該当していること
この3点が重要となります。保険料の納付はもちろんのこと、医療機関にかかったときはなるべく診断書や領収書を保存しておきましょう。そのうえで分からないことは私たちにいつでもお問い合わせください。
線維筋痛症・リウマチ性多発筋痛症で障害年金はもらえる?認定条件を解説
障害年金を受給する際の基本的な基準は以下の通りです。線維筋痛症・リウマチ性多発筋痛症は肢体の機能の障害という章に含まれます。
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
上記の内容だけではなかなかご自身が何級に当てはまるか判断できないと思います。
線維筋痛症については日本年金機構より、診断の際の重症度分類を以下の基準で区分するよう医師に対して要請が出されていますので、判断の際にご活用ください。
ステージⅠ | ACR診断基準の18か所の圧痛点のうち11か所以上で痛みがあるが、日常生活に重大な影響を及ぼさない。 |
ステージⅡ | 手足の指など末端部に痛みが広がり、不眠、不安感、うつ状態が続く。日常生活が困難。 |
ステージⅢ | 激しい痛みが持続し、爪や髪への刺激、温度・湿度変化など軽微な刺激で激しい痛みが全身に広がる。自力での生活は困難。 |
ステージⅣ | 痛みのため自力で体を動かせず、ほとんど寝たきり状態に陥る。自分の体重による痛みで、長時間同じ姿勢で寝たり座ったりできない。 |
ステージⅤ | 激しい全身の痛みとともに、膀胱や直腸の障害、口の渇き、目の乾燥など全身に症状がでる。通常の日常生活は不可能。 |
線維筋痛症・リウマチ性多発筋痛症は症状の個人差が大きいため、診断は総合的に行われますが、おおむねステージⅤが1級、ステージⅣが2級、ステージⅡ~Ⅲが3級と判断される可能性が高いと言えます。
認定基準3級は、初診日に加入していた年金制度が厚生年金保険(共済年金)の方が対象です。初診日に厚生年金保険(共済年金)に加入せず、国民年金に加入していた方は、1級または2級に該当しないと障害年金が支給されません。
線維筋痛症・リウマチ性多発筋痛症で障害年金を請求(申請)するときの注意点
線維筋痛症・リウマチ性多発筋痛症は痛みを伴い、夜も寝られない方、うつ症状に陥る方も多いため、他のさまざまな疾病に複合的に悩まされる方も多くいらっしゃいます。そのような状況も含め、医師にはご自身の症状を的確に伝える事が大切です。診断書を依頼する際には、日常生活状況をまとめたメモを渡したり、ご家族など、普段の様子を知っている方から説明してもらったりするのも有効な方法の一つです。
複雑な書類が多く書類準備が面倒に思われる方や精神的・身体的症状が重く外出が思うようにできないため障害年金を最後まで申請できるかどうか不安であるという方もいらっしゃるかと思います。
そんな時は、障害年金の専門家がいる多摩・八王子障害年金相談センターへ是非お問合せください。
線維筋痛症で障害厚生年金3級を受給した事例
概要
30代 女性
病名:線維筋痛症
結果:障害厚生年金3級
依頼者の状況
Kさんは現在32歳で、5年ほど前から急に頭痛や顔面痛、上半身の痛みが酷くなりました。
その後、治療のために何か所か病院を受診しましたが、原因が分からず薬も処方されなかったため市販薬で痛みをごまかしながら耐えていました。
しかしその後は病状が悪化し、痺れや腹痛、耳鳴りなど全身に痛みが広がり、家事や育児が困難になりました。
そのような中で、ある病院で検査した結果、全身の骨格筋に激しい痛みやこわばりが生じるリウマチ性疾患である線維筋痛症と診断されました。
現在は身体の痛みが酷いため会社を休職しており、病院の治療費など経済的負担が重くなってきたため病気の事について記載されている書物から障害年金の制度を知り、障害年金の申請を代わりに行ってもらおうと思い多摩・八王子障害年金相談センターに問い合わせをしました。
受任から受給まで
ご本人と面談しヒヤリングした結果、就労意欲はあるものの現在は痛みが全身に広がってしまい、痛みに耐えることができないため、仕事をするにも職種や時間の制限があることが伺えました。
そのため仕事をするにも事務的な仕事に限れられるなど労働に制限を加えることを必要とする程度に障害の影響が及ぼしているものと判断できたため障害年金の受給できる可能性がある旨を伝え、書類を揃えて申請した結果、障害厚生年金3級を受給するに至りました。
肢体の障害
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小野 勝俊
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