視覚障害とは?種類別に開設!障害年金の受給事例も!

視覚障害とは?種類別にわかりやすく解説!障害年金の受給事例も!

視覚障害とは?

視覚障害は、目が見えない・見えにくい障害を指します。単に視力や視野の障害だけではなく、色や光の感じ方の障害も含まれます。今回は、そんな視覚障害について、障害年金の受給事例を含めながらお伝えしていきます。

視覚障害の4つの種類

視力障害

視力の低下により、視覚的情報を全く得られない、またはほとんど得られない状態のことを言います。全く視力がなく明暗もわからないことを「全盲」、少しの視力はあるが、眼鏡をかけても日常生活に困難をきたす低視力のことを「弱視」と言います。視覚障害は眼鏡やコンタクトレンズなどで矯正しても一定レベルまで視野の回復ができず、日常生活に困難を感じる場合を指します。

視野障害

視力は有しているけれども、見える範囲が狭くなったり一部が欠けたりする障害のことを視野障害といいます。中央部分だけ視野が残る場合(求心性視野狭窄)、中心部のみ見えなくなる場合(中心暗転)白くぼやける(白濁)などがあります。

色覚障害

色覚障害は色の見え方の障害です。全く色を感じられないというわけではなく、赤や緑など特定の色の識別がしにくいことが多いです。網膜に存在する錐体に異常が発生することで発症します。先天性の色覚異常と後天性の色覚異常(白内障や緑内障)に大別されます。

光覚障害

光を感じたときに、光の強さを自動的に調整し見えやすくする機能に異常をきたしている障害です。暗いところで目が慣れる暗順応や、暗いところから明るいところへ出た時に目が慣れる明順応がうまくできません。
夜など光の少ない状態では何も見えなくなってしまう「夜盲」という状態や、光をまぶしく感じすぎてしまい明るいところで何も見えなくなってしまう「昼盲」という状態になってしまい、日常生活に困難をきたします。

視覚障害者が活躍できる仕事は?

鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師など専門性が高い仕事

日本では江戸時代から按摩(あんま)、鍼、灸は「あはき」とも呼ばれ視覚障がい者の職業として発達してきました。盲学校で職業訓練の一環として按摩や鍼、灸、指圧などを教えることもあります。按摩マッサージ指圧師や鍼灸師は国家資格が必要な専門性の高い仕事です。

オフィスやリモートワークでの事務職

拡大鏡や、パソコンウインドウの文字を読み上げてくれるソフト(JAWSやNVDA)、画面調整などを使用してパソコン画面上の情報を読み取ることができれば、事務仕事に従事することができます。マイクロソフトオフィスシリーズのアプリケーションであるWord(ワード)、Excel(エクセル)、Outlook(アウトルック)などを身に着けることで求職活動が可能です。スキルを客観的に示すために、PC検定やビジネス文書検定を受ける方もいらっしゃいます。近年ではリモートワークの環境も発達したので、オフィスに出向くことなく自宅でできる作業も増えています。

技術を活かせる仕事

他にも、会議やインタビューの音声データを文字に起こす仕事や翻訳の仕事など、聴覚や語学力を活かした仕事をする方もいらっしゃいます。語学とパソコンの入力ができればブログを書いてアフィリエイト収入を得ることも可能です。感性の優れている方は楽器演奏のプロや歌手になる方もいらっしゃいます。コミュニケーション能力に優れていれば、カウンセラーや接客業に就くことも可能です。障害の状況は人それぞれですので、得意なことや技術を活かした仕事に就き、視覚情報が必要な場合はそれを補う手段を考えながら対応していくことが大切です。具体的な視覚情報を補う手段については、サポートを受けながら探していきましょう。

視覚障害者をサポートするもの

白杖(はくじょう)

視覚に障害を抱える方が周囲の状況を探るためや、体の支えとして使う白い杖です。歩行時に杖を滑らせることで障害物の確認をすることができます(スライドテクニック)。
白杖は視覚障害者であることのシンボル的な役割も果たしています。時には路面を叩いて晴眼者に対して「視覚障害者がいること」を軽く知らせる場合もあります(タッチテクニック)。また、タッチテクニックを使うことで、反響音を聞いて歩行場所の状況確認をしている場合もあります。路面を叩いていても、怒っていたりイライラしているわけではありませんので周囲の理解が必要です。
また、白杖を両手で持ち、上に掲げている場合は「SOS」のサインです。そんなサインを出している方を見かけたら、正面から「お手伝いしましょうか」とそっと声をかけてあげてください。

遮光眼鏡

光覚障害を抱える方が、まぶしさを抑えるために使う眼鏡です。人がまぶしさを感じるときは真っ白に見えますが、一定の波長の光をカットすることで白みを抑え、コントラストを出すことで視認性を上げ、まぶしさを緩和します。サングラスとの違いがよく問われますが、サングラスはファッション性が重視された眼鏡ですので、時には見るために必要な光までもカットしてしまうことがあります。遮光眼鏡は視覚障害を抱える方のために見えやすさを重視して作られています。

点字

点字は、視覚障がい者が文字を読んだり書いたりするために使われる文字です。縦3点、横2点の6つの凹凸があり、その組み合わせによって文字を示しています。組み合わせは63通りあり、ひらがな50音、アルファベット、数字、記号を表しています(漢字はありません)。近年では携帯電話や音声読み上げ機能の発達により点字離れも進んでいますが、先天性の視覚障害を持つ方にとっては本を読んだりコミュニケーションをしたりするための大切なツールとなっています。

盲導犬

視覚障害を抱える人へ、障害物や段差、曲がり角を教えることで安全に歩行できるようにサポートするのが盲導犬です。盲導犬は信号の識別や目的地までの誘導をすることはできませんので、音声のない信号や道に迷った盲導犬ユーザーさんがいらっしゃる際には周囲のサポートが必要です。

視覚障害者が日常生活で注意することは?

学校での注意点

視覚障害を抱える子どもは特別支援学校へ通います。学習内容は一般の学校とほとんど同じですが、自立活動と呼ばれる歩行訓練や見る訓練をする時間があります。
たとえば視覚障害を抱えている場合には空間や図形の認識や理解が困難であったり、全体と部分の関係理解、立体感・遠近感の把握に困難がでたりします。それらを必要に応じてサポートしながら自立に向けた知識や技能を養うのが自立活動です。
障害に基づいた困難さを理解し、衣服の着脱や食事など日常生活のことから、学習面、対人認知や社会性の発達といった心理面まで幅広くサポートをしていくのが特別支援学校です。

仕事を選ぶ時の注意点

視覚障害がある場合、最も高いハードルとなってしまうのが「通勤」です。事前に通勤時間や通勤ルートの確認をしたり、夜盲の症状がある場合には明るい時間に帰れるよう勤務時間を調整したりして安全に勤務できるように職場と調整をしましょう。可能であればリモートワークを利用することもおすすめです。読み上げソフトなどを使ってパソコン作業が可能であれば、プログラマーやライターなど職種の幅も広がります。

障害への理解が深い会社を選ぶことも大切です。何か困っていることがあれば声掛けをしてくれる雰囲気があるかどうかは確認しておいたほうがいいかもしれません。それは障がい者にとって大切なだけではなく、晴眼者にとっても大切なことです。挨拶はしっかりとする、わからないことは聞く、迷惑をかけたかな?と感じたらこまめに謝る、そういった小さなコミュニケーションがしやすい職場を選ぶことは、自分の持つ障害を理解してもらいやすくなるだけでなく、得意な部分を発見し、能力を発揮しやすい環境を作ることにもつながります。

視覚障害者が利用できる福祉サービスは?

地域生活支援事業

視覚障害のある方やその家族からの相談を受け、必要な情報の提供や支援を行うのが地域生活支援事業です。点字器や活字文書読み上げ装置など日常生活を支援する道具も借りることができます。市町村に窓口があり、各自治体によって対象となる方や支援の内容が異なりますので、詳細はお住まいの自治体の障害福祉窓口にご確認ください。

居宅介護

ヘルパーが自宅を訪問し、食事や入浴など身の回りの世話や、買い物や掃除洗濯など家事の支援を行うものです。通院などの際に付き添い介助を行う同行援護も居宅介護に含まれます。同行援護の際に外出サポートを行うのは、障害の特性や支援方法など専門の知識を有したガイドヘルパーです。

通所(入所)施設を利用するサービス

自宅から施設に通うことで利用できるサービスもあります。自立した生活を送るための訓練をする「自立訓練」、あん摩マッサージ指圧師や鍼灸師の国家資格を目指す「就労移行支援」などがあります。通所による利用が困難な方は入所で利用できる場合もあります。

補装具費の支給

障害者総合支援法の一環として、白杖や遮光眼鏡など補装具の購入支援も行われています。所得に応じた上限額はあるものの、購入額が支給されます。

年金制度

障害が後天的であったにしろ先天的であったにしろ、病気やけがによって生活や仕事が制限されるようになった場合は年金制度が利用できます。(後天的な場合は年金の納付状況などによって制限があります。)年金制度には日本に居住する20歳異常60歳未満の全ての人が加入する公的年金や主に企業や個人が任意で加入する私的年金があり、視覚障害者の場合、この公的年金や私的年金の中の障害基礎年金(もしくは障害厚生年金)を請求することができます。
詳しくは国民年金の担当課や社会保険事務所に相談してみましょう。

視覚障害の認定基準は?

視力障害についての障害認定基準

視力障害についての障害認定基準は次のように定められています。
(令和4年1月1日障害認定基準改正による)

1級・視力の良い方の眼の視力が0.03以下のもの
・視力の良い方の眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁(検者の手掌を被検者の眼前で上下        
 左右に動かし、動きの方向を弁別できる能力)以下のもの
2級・視力の良い方の眼の視力が0.07以下のもの
・視力の良い方の眼の視力が0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
3級・視力の良い方の眼の視力が0.1以下のもの
障害手当金  ・視力の良い方の眼の視力が0.6以下のもの
・一眼の視力が0.1以下のもの

これまでのゴールドマン型視野計に基づく認定基準に加えて、現在広く普及している自動視野計に基づく認定基準も創設されました。

◎自動視野計に基づく認定基準

1級両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
2級両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
3級両眼開放視認点数が70点以下のもの
障害手当金・両眼開放視認点数が100点以下のもの
・両眼中心視野視認点数が40点以下のもの

◎ゴールドマン型視野計に基づく認定基準

1級両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの
2級・両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
・求心性視野狭窄または輪状暗転があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの
3級両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下のもの
障害手当金・Ⅰ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
・両眼による視野が2分の1以上欠損したもの

視覚障害で障害年金を受給した事例

網膜色素変性症で障害厚生年金2級を受給した事例

進行性の網膜色素変性症と診断された30代女性の例です。初診日の証明から受給に至るまでの詳細な状況をお伝えしています。

網膜色素変性症で障害厚生年金2級を受給した事例

緑内障で障害厚生年金3級を受給した事例

20代で緑内障を発症した女性の例です。退職を余儀なくされ、再就職にも一定の制約があることが確認されたため、3級の申請に至りました。

緑内障で障害厚生年金3級を受給した事例

右眼網膜剥離で障害手当金を受給した事例

43歳で網膜剥離を発症し、手術と治療を行ったものの黄斑委縮のため右眼の視力が0.1以下になってしまった男性の例です。

右眼網膜剥離で障害手当金を受給した事例


障害年金の申請は、まずはご相談いただくことからはじまります。受診した場合はなるべく受診や診察の記録を取っておくことも大切です。ぜひ諦めることなく、お気軽にご相談ください。

まとめ

今回は、視覚障害と就労、サポート、視覚障害の方がもらえる年金について詳しくお伝えしました。どんな障害でもそうですが、視覚障害は特に他の人に困難が伝わりにくい障害です。しかし生活や就労で困難を感じている場合、受けられるサポートや年金はあるはずです。ぜひ諦めることなくお気軽にご相談ください。

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小野 勝俊

初めまして、多摩・八王子障害年金相談センターを運営する「多摩ヒューマンサポート社会保険労務士事務所」の代表 小野勝俊と申します。 当事務所に相談することで、お客様の悩みが少しでも解決するよう私が精一杯サポート致します。 障害年金を受給し、新しい未来が築くことができるように一緒に頑張っていきましょう。