脳疾患障害年金受給までの流れ

脳梗塞などの脳疾患や後遺症で働けなくなった時にもらえる障害年金について事例や受給条件を解説!

脳疾患とは、脳梗塞・脳卒中(脳血管障害)・くも膜下出血などを指します。
もしも、家族を支える大黒柱が脳疾患になってしまったら…


一命は取り留めて一安心…そんな安心もつかの間、その後の後遺症と向き合う中で、生活費
や医療費はどうしよう…


など、金銭面の不安がよぎるのではないでしょうか?

脳疾患は患者数の非常に多い国民的な疾病なので、それによる障害に悩みを抱える人の数も急激に増えています。
障害年金の受給者数の約半分は精神の障害によるものですが、脳疾患で障害年金を受給する方も他の障害と比べるとかなり増えました。

この記事では脳疾患による障害年金・申請手順や手続きのポイントについてご説明させてい
ただきます。

脳疾患の種類

脳疾患は脳梗塞・脳卒中(脳血管障害)・脳腫瘍など様々あり、後遺症の種類としては肢体
麻痺が多く、「肢体の障害」として障害年金を請求する事例が中心です。

脳梗塞

脳の血管が詰まる等、何らかの原因で狭くなり血液の流れが低下し酸素や栄養が行き渡らな
くなり壊死(梗塞)を起こした状態をいいます。

酸素が不足してしまうと細胞は壊死し機能を失ってしまいます。

脳卒中(脳血管障害)

脳の血管が、何らかの原因で侵されることによって脳の働きに障害が起き、意識障害や運動
障害などを引き起こす病気です。

近年では、医療技術の進歩により脳卒中による死亡率は下がってきていますが、脳卒中を起
こす患者さんの数は増加し続けています。

言語障害や、体の麻痺などの後遺症が残りやすく、発症後介護が必要になるケースも多々あ
ります。 はっきりとした前兆もなく突然発症するので、注意が必要です。

脳腫瘍

脳腫瘍とは頭蓋内に発生する腫瘍の総称で、脳実質に発生する腫瘍および髄膜、脳神経、下
垂体由来の腫瘍を指します。

脳腫瘍は基本的に脳組織から発生する原発性脳腫瘍と、他の臓器から脳に転移してきた転移
性脳腫瘍に分けられます。

くも膜下出血

くも膜下出血とは、くも膜と呼ばれる脳表面の膜と脳の空間(くも膜下腔と呼ばれ、脳脊髄
液が存在している)に存在する血管が切れて起こる出血です。

80〜90%は脳動脈瘤と呼ばれる脳の動脈にできた「こぶ」からの出血が原因です。

肢体障害の種類

関節リウマチ

関節リウマチとは、関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されて関節の機能が損なわれ、放
っておくと関節が変形してしまう病気です。

腫れや激しい痛みを伴い、関節を動かさなくても痛みが生じるのが、他の関節の病気と異な
る点です。

手足の関節で起こりやすく、左右の関節で同時に症状が生じやすいことも特徴です。
その他にも発熱や疲れやすい、食欲がないなどの全身症状が生じ、関節の炎症が肺や血管な
ど全身に広がることもあります。

線維筋痛症

線維筋痛症は、一般的な検査をしても原因が見つからないにもかかわらず、全身の強い痛み
やこわばり、睡眠障害、うつ状態などさまざまな症状が生じる病気です。

脳の機能障害が原因と考えられています。線維筋痛症の主な症状は「強い痛み」です。線維筋痛症は、痛みの
部位が全身であったり、身体の一部であったり、痛みの部位が流動的です。

痛み以外の症状では、「疲労感・倦怠感」、「こわばり感」、「睡眠障害」、「うつ状態」などをはじめ、
さまざまな症状が報告されています。

変形肢関節症

変形性股関節症の主な症状は、股関節(脚の付け根)の痛みと機能の障害です。痛みや股関
節の動く範囲(可動域)制限が生じるために、日常生活動作が障害されます。

また、長い時間立ったり歩いたりすることが困難になり、関節症が進行すると運動しない場
合でも常に痛むようになり、夜間の痛みも生じます。

階段昇降やしゃがみこみ、立ち上がりが不自由になり、可動域制限が進行すると足の爪切り
や靴下の着脱、正座などが困難になります。

その他の後遺症

高次脳機能障害

高次脳機能障害は、脳梗塞や脳出欠、くも膜下出血などの脳疾患を患い、脳の機能の一部に損傷を受けることにより、記憶や言語など脳機能に障害を負った状態です。注意力障害、失語、半側空間無視、社会的行動障害など外見からはわかりにくく、本人さえも症状に気付きにくい症状が多いため辛い思いを抱えやすい障害です。

障害年金とは

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、 受け
取ることができる年金です。

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに 国民年金に加入していた場
合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。

障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け
取ることができる制度があります。

脳疾患のよる障害年金の程度の目安

脳疾患の後遺症は体のいたる場所に生じるため、症状がでている箇所ごとに認定基準が変わ
ってきます。
実際には、診断書の内容から等級が決定されますが、症状ごとの認定基準が異なります。

1級

  • 両腕がまったく動かない状態
  • 両手の全ての指が全く動かない状態
  • 全ての指の機能に著しい障害がある状態
  • 両脚が全く動かない状態

2級

  • 眼を閉じた状態で立ち上がり、自力で立った状態を保てない状態
  • 両手の親指及び人差し指または中指の機能に著しい障害を有する状態
  • 左右どちらかの腕または脚がまったく動かせない状態
  • 左右どちらかの腕のすべての指がまったく動かせない状態

3級

  • 眼を閉じた状態で立ち上がり、自力で立った状態を持続させることが不安定で、目を開けて直線を歩行中に多少転倒しそうになったりよろめいたりする状態
  • 左右どちらかの腕または脚の3大関節のうち、2関節以上動かす事が出来ない状態
  • 左右どちらかの腕の人差し指、中指、薬指、小指がほとんど動かせない状態

脳出血で障害厚生年金2級を受給した事例

40代 男性
病名:脳出血
結果:障害厚生年金2級


依頼者の状況

Mさんは、現在46歳で仕事帰りに原因不明の脳出血を発症し路上に倒れ、救急搬送されま
した。搬送先で、入院治療を行いましたが、右半身の感覚障害及び筋力・持久力が低下して
しまい自力で歩行することが難しくなってしまいました。その後、リハビリ施設で治療を続
けましたが、右半身に後遺症が出てしまい職場には復帰したものの発症前の仕事には従事す
ることができなくなりました。

受任から受給まで

相談の依頼を受けて面談しヒヤリングした結果、右半身の機能に後遺症が残ってしまったた
め、杖を使わないと歩行することができず、利き手の機能が制限されているため文字を書く

ことなどの基本的な日常生活能力が損なわれているものと判断したため書類を揃えて申請し
た結果、障害厚生年金2級を受給するに至りました。

脳疾患の障害年金申請のポイント

障害年金の申請には、医師が作成する診断書、請求者自身が作る病歴就労状況等申立書の提
出が必要となります。書類作成の際に、覚えておいて頂きたいポイントを挙げていきます。

①初診日から6か月経過したら医師に相談する

障害年金の請求権は、初診日から1年6か月経過した日(障害認定日)に発生します。しか
し、脳梗塞等の脳血管疾患を原因とする障害の場合、初診日から6か月経過した日以降に、
医学的観点から、それ以上の機能回復がほとんど望めない(症状固定)と判断されたときに
、障害年金の請求権が発生します。「症状固定」かどうかは、「医学的観点から」判断して
もらうことになります。初診日から6か月経過している場合には医師に相談してみると良い
でしょう。

②症状ごとに適切な診断書を使用する

脳疾患の後遺症は、その症状が多岐にわたるため、症状ごとに使用する診断書も違ってきま
す。いくつかの症状が併存している場合には、複数枚の診断書を組み合わせて申請すること
も可能です。

③病歴就労状況等申立書は正確に書く

ここからは状況等申立書を作成するときに、大切にしているポイントをご紹介いたします。

診療の内容は詳細に

診療の内容はできるだけ詳細に記載しましょう。医師から言われている、生活を送る上での
注意点や仕事上の注意点等をしっかりと記載すると良いでしょう。

日常生活における支障・困っていることを詳細に書く。
脳疾患の後遺症により、日常生活をしていてどんなことに困っているのか、仕事していてど
のようなことで困っているのか、等を詳しく記載しましょう。

重要なポイントは診断書との整合性

最も重要なポイントは、診断書との整合性です。診断書の中で記載のない症状について、病
歴就労状況等申立書の中に記載を行ったとしても、その内容は、おそらく審査には反映され
ないでしょう。

なので、診断書の内容と病歴就労状況等申立書の内容を照らし合わせて、しっかりと確認する必要があります。

実際に日常生活に起こっている支障と診断書の記載内容との間に相違がある場合には、診断書を作成した医師に相談する等の対応が必要になります。

脳疾患などの障害年金申請は一人で抱え込まずにご相談を

障害年金の請求には、初診日の証明をとったり、病歴申立書を作成したり、住民票、戸籍と
時間と労力が必要です。また申請を通すために医師とのやりとりが必要です。

書類の作成が上手くいかず申請しても不支給になるケースも少なくありません。

脳疾患による障害年金の資料作成や申請などでお困りごとがありましたら、多摩・八王子障害年金相談センターにお
問い合わせください。
https://tamasapo-office.com/

受給事例

こちらでは、脳疾患や肢体障害の相談者様が当センターに相談して障害年金を受給できた事
例を紹介させていただきます。尚、個人情報の観点から氏名や住所は伏せて掲載させていた
だいております。

脳疾患の事例紹介

脳出血で障害厚生年金2級を受給した事例
脳梗塞による機能障害で障害厚生年金2級を受給した事例 – 多摩・八王子障害年金相談セン
ター

肢体障害の事例紹介

関節リウマチで障害厚生年金2級を受給した事例
線維筋痛症で障害厚生年金3級を受給した事例
変形性肢関節症で障害厚生年金3級を受給した事例

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小野 勝俊

初めまして、多摩・八王子障害年金相談センターを運営する「多摩ヒューマンサポート社会保険労務士事務所」の代表 小野勝俊と申します。 当事務所に相談することで、お客様の悩みが少しでも解決するよう私が精一杯サポート致します。 障害年金を受給し、新しい未来が築くことができるように一緒に頑張っていきましょう。