発達障害において障害年金は受給できるのか?要件や申請の流れを解説

発達障害は「広汎性発達障害」や「学習障害」、「注意欠陥多動性障害」など様々な呼ばれ方をしていますが、いずれも脳機能の発達に関連する障害を指します。コミュニケーションがうまくとれず日常生活に支障をきたすことから、働くことに辛さを感じる方もいるでしょう。その場合は、自分の収入だけでなく障害年金受給も視野に入れると不安を軽減できるかもしれません。

当記事では障害年金の概要や発達障害で受給できる要件、流れなどを紹介します。医療機関や年金相談センターを活用し、困りごと解消を目指しましょう。

障害年金の種類

発達障害を持つ方が受給できるお金として「障害年金」が挙げられます。障害年金は仕事や生活に支障をきたす方が、生活をしていくために支給されるお金です。障害年金の対象者は今回紹介する発達障害だけでなく、癌や生活習慣病、うつ病など様々な病状が該当します。ここでは、障害者年金や手当の種類を3つ紹介します。

障害基礎年金

障害年金も老齢年金のように階層建ての仕組みになっています。年金制度の1階部分にあたる年金が「障害基礎年金」です。障害基礎年金は国民年金の被保険者が受け取れる年金で、障害に関する受診の初診日に国民年金に加入していた人が受け取れます。

参考までに、国民年金は20歳から60歳までの人は強制加入のため、きちんと年金を支払っている場合は要件が当てはまり次第、受給可能です。なお、生まれつき障害がある方の場合は初診日が20歳前であっても障害基礎年金を受け取れます。

また、国内に住んでおり年金制度に加入していない期間に初診日があっても60歳以上65歳未満の場合は障害基礎年金の受給が目指せるでしょう。

障害基礎年金の場合は手続きや相談をお住まいの行政センター(市役所や区役所など)、もしくは管轄にある年金事務所や年金相談センターで行います。

障害厚生年金

障害厚生年金は年金制度の2階にあたる部分です。企業に所属する人が受け取れる年金です。障害基礎年金との違いについては「初診日が厚生年金へ加入している期間であるかどうか」がポイントです。厚生年金をかけている人に該当する年金のため、そもそも所属する企業で厚生年金をかけてもらっていない場合は受給できません。

障害厚生年金の手続きや相談はお住まいの管轄にある年金事務所や年金相談センターで行います。

障害手当金

障害年金に該当する状態よりも軽い障害の場合は障害手当金(一時金)を受け取れます。下記で紹介する1〜3級に該当しない程度の状態の場合に申請できます。なお、手続きや相談はお住まいの管轄にある年金事務所や年金相談センターで行います。

発達障害も障害年金をもらえる可能性がある

発達障害の場合、困り事が目に見えづらく「障害年金の要件に当てはまらないのでは」と考える方が多く見られます。しかし、診断を受け、障害該当要件にあてはまると障害年金をもらえる可能性があります。こちらでは仕組みを紹介します。

3つの障害等級に基づいて決定される

受給要件を判断する障害等級は1〜3のレベルで分類されています。

等級具体的な状態
1級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
3級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しく制限を受けるもの

なお、発達障害は血液や脳波など物理的検査で判断しにくい特徴があることから、厚生労働省が提供する「障害の精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を基準にしたり、日常生活にかかる支障の状態で判断したりするケースも見られます。

該当する発達障害について

ここからは発達障害の具体的な名称や特徴を紹介します。現在、発達障害の診断を受けていないものの、就労や生活に支障をきたしている場合の参考にしてください。

広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)

広汎性発達障害は働く上で欠かせないコミュニケーションや社会性に支障をきたす場合につけられる診断名の総称です。この中には自閉症スペクトラム障害やアスペルガー症候群など様々な障害が含まれます。広汎性発達障害は人口の1%に及ぶほど多くの方が抱えている現状があります。社会性やコミュニケーションの問題と付随して、聴覚過敏や触覚過敏など様々な症状も合わせて起こると生活に支障をきたすでしょう。

具体的な事例としては、幼少期から言葉の遅れが見られたり、感情の共有が苦手だったりというものが挙げられます。一口に広汎性発達障害と言っても症状の重さは様々であることから、診断により具体的な対応が求められます。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

注意欠陥多動性障害は「多動」とも呼ばれている発達障害です。日常生活においては不注意が原因で仕事でミスをしやすかったり、生活でトラブルが起こりやすいといったものが挙げられます。1つの活動に集中できないため業務を円滑に進められなかったり、仕事のトラブルから周囲との関係性が悪化したりする可能性があります。

学習障害(LD)

学習障害は限局性学習症、LDなどとも呼ばれ、読み書きや計算などがうまくできない障害です。一口に学習障害と言っても文字が読めないタイプや文字を書けないタイプ、算数や数学ができないタイプなど様々です。また、学習障害はADHDや自閉症スペクトラム症障害など様々な障害と合わせて起こる可能性も高いため、網羅的に配慮した支援が求められています。学習障害を抱える方の中には問題なく生活ができる方もいるため、発見が遅れたり気づかないうちに劣等感をおぼえることもあるでしょう。

発達障害かもと思った時の行動

発達障害はその症状に大きな違いが見られるため、周囲から障害と認められず、気づいた頃には限界を迎えていることも珍しくありません。もしも上記の特徴に当てはまる場合は、下記3つの方法を試してみましょう。

医療機関にかかる

まずは医療機関にかかり適切な診断対応を受けましょう。発達障害の場合、受診先は精神科か心療内科になります。医療機関とのつながりを持ち自分の困りごとを相談しましょう。相談する中で診断に検査を受けることもあるでしょう。

なお、精神科や心療内科は多くの地域で混雑している現状があります。初診の場合、予約を取るまで3ヶ月や半年程度かかる可能性もあるため、ゆとりを持ったスケジュールがおすすめです。また、初診時に医師にうまく症状を伝えられないと不安を抱える場合は自分の悩みをメモ書きし、持参する方法も試しましょう。

具体的には「会社で同僚との意思疎通ができず、相手を怒らせてしまった」「同じ業務のミスを何回もしてしまう」など、箇条書きが分かりやすいでしょう。

家族に相談する

発達障害を疑った場合、自分一人で解決するのではなく家族の協力も受けましょう。発達障害は仕事だけでなく生活全般に支障をきたすものが多いため、家族のサポートを受けながら少しでも過ごしやすい状態を整えていくことが大切です。

発達障害では本人の辛さはもちろん家族が意思の疎通や関係性構築が難しく、ストレスを抱える「カサンドラ症候群」の懸念もあります。そのため、医師の診察にかかる前に家族に話したり、家族から困りごとをヒアリングしたりする方法もおすすめです。

自治体の窓口につながる

発達障害の診断を受ける場合、家族への相談と合わせて自治体の窓口ともつながりを持ちましょう。手続きでは市役所や区役所など行政センターを利用しますが、そのタイミングはもちろん、福祉課や障害福祉課などと事前につながっておくことで相談先を多く設けられたり各種協会への参加で同じ悩みを持つ人とのつながりが得られたりします。

発達障害は本人がどれだけ改善しようと思っても、その特性上、コミュニケーションがうまくいかなかったり社会生活を営む上で課題を抱えたりします。そのため、自分の悩みを打ち明けられる場所づくりやサポートしてくれる機関とつながり、心の負担を減らすことが大切です。一人で悩むのではなく、頼れるところを頼り、より良い生活を目指しましょう。

障害年金受給までの流れ

ここからは障害年金を受給するまでの流れを解説します。まだ発達障害の診断を受けていない方の場合は、医療機関にかかることが大切です。医療機関にかかりながら年金相談を行っていきましょう。

所定期間初回の年金相談を受ける

まずは一度障害年金にかかる相談に行きましょう。障害基礎年金(第1号保険者)の場合は居住地の市区町村役場で相談可能です。障害厚生年金にあたる第2号被保険者・第3号被保険者の方は年金事務所か年金相談センターでの相談になります。

このタイミングで障害年金受給に必要な「年金請求書」をもらいましょう。なお、年金請求書は下記のリンクよりダウンロードも可能です。

障害基礎年金を請求するとき

医師に診断書の作成を依頼

障害年金の受給には医師の診断書が必要です。これまで発達障害の困りごとで医療機関にかかったことがある場合は、そちらで診断書を取得しましょう。なお、これまで診断を受けていない場合は、受診やそれに係る検査等を受けます。診断書とあわせて初診日を証明する「受診状況等証明書」も発行してもらいましょう。

参考までに、医療機関で書類を発行して貰う場合は費用がかかります。診察代と合わせてお金の用意が大切です。

要件を満たしているか確認

障害年金の受給要件を満たしているかを確認します。「障害基礎年金」については、下記すべての要件を満たしている必要があります。

①障害の原因となった病気やけがの初診日が次のいずれかの間である。
・国民年金加入期間である
・20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間である

②障害の状態が障害認定日に、障害等級表に定める1級または2級に該当している。

③初診日の前日に初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上ある。

※初診日が令和8年4月1日前にある場合は初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい。
※20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要。

なお、「障害厚生年金」においては下記の1〜3すべての要件を満たしている必要があります。

①厚生年金保険の被保険者期間に障害の原因となった病気やけがの初診日がある。

②障害の状態が障害認定日に障害等級表に定める1級〜3級のいずれかに該当していること(ただし、障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなった場合は障害厚生年金を受け取れる可能性がある)。

③初診日の前日に初診日がある月の前々月までの被保険者期間において国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)および保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上ある。

※初診日が令和8年4月1日前の場合は初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい。

この要件を満たすか判断が難しいと感じた場合は、専門家への相談がおすすめです。多摩・八王子障害年金相談センターでは障害年金受給診断を無料で行っております。

ぜひご活用ください。

必要書類の準備

要件を満たしている場合は受給に向けて手続きを進めます。

なお、主な必要書類は下記の通りです。

  • 基礎年金番号通知書、または年金手帳等の基礎年金番号がわかる書類
  • 戸籍謄本や戸籍抄本、戸籍の記載事項証明や住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
  • 医師の診断書(所定の様式)
  • 受診状況等証明書
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 受取先金融機関の通帳等※本人名義

病歴・就労状況等申立書の作成・書類提出

書類提出では診断書以外の補足資料として、「病歴・就労状況等申立書」の提出が求められます。診断書とは別に、障害の程度や日常生活の困難さを表す資料として活用します。テンプレートがオンラインにあり自宅でも作成できますが、難しい場合は年金事務所や自治体に相談がおすすめです。

病歴・就労状況等申立書を提出するとき

まとめ

発達障害においては定められた要件を満たすと障害年金を受け取れます。要件の判断や提出する資料を揃えるには時間がかかりますが、申請すると生活に必要な資金を受け取れるため、生きづらさや働きづらさに悩んでいる場合は利用を検討しましょう。

なお、多摩・八王子障害年金相談センターでは電話やメールで相談いただくことが可能です。申請や書類作成の流れに見通しがたたない場合はぜひご相談ください。

お問い合わせ|障害年金の申請・相談なら多摩・八王子障害年金相談センター|専門社労士にお任せください。

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小野 勝俊

初めまして、多摩・八王子障害年金相談センターを運営する「多摩ヒューマンサポート社会保険労務士事務所」の代表 小野勝俊と申します。 当事務所に相談することで、お客様の悩みが少しでも解決するよう私が精一杯サポート致します。 障害年金を受給し、新しい未来が築くことができるように一緒に頑張っていきましょう。