生活保護を受けながら障害年金は受給できる?受給資格や申請のポイントについて解説!

日本において、「生活保護」と「障害年金」は、経済的困難に直面している個人が利用できる重要な社会保障制度です。これらの制度は、特に精神疾患や発達障害などの障害を持つ人々にとって、生活を支えるための貴重な手段となり得ます。しかし、多くの人がこれらの支援を利用する過程で、様々な疑問や困惑を抱えています。たとえば、「うつ病や発達障害でも障害年金を受け取ることは可能なのか?」や「生活保護を受けながら障害年金も受給できるのか?」などの質問は、特によく聞かれます。本記事では、これらの制度の基本情報、申請方法、そして障害年金と生活保護の併用について解説します。

生活保護と障害年金について解説

生活保護とは?

生活保護の目的と対象者

生活保護とは、経済的な理由で生活が困難な人々に対し、最低限度の生活を保障するための公的支援制度です。日本の社会保障制度の一環として、必要な生活費や医療費などを給付することで、すべての国民が人間らしい生活を営むことができるように支援します。

生活保護の対象となるのは、病気や障害、失業など様々な理由で自力で生活を維持できない人々です。具体的には、世帯収入が居住地の最低生活費より低い人や、病気や障害が原因で働けない人などが含まれます。

申請方法と必要書類

生活保護の申請は、申請者が現在居住している地域の市町村にある福祉事務所で行います。必要な書類が揃っていなくても、申請自体は可能ですが、その後必要な書類を揃える必要があります。

申請に際しては、以下の書類が一般的に必要です。

  • 申請書
  • 資産申告書
  • 収入申告書
  • 同意書
  • 扶養義務者届
  • 生活歴
  • 本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)
  • 通帳(全員分の最新の記帳を含む)
  • 賃貸契約書(賃貸住宅に住んでいる場合)
  • 収入がわかるもの(給与明細や年金証書など】。

生活保護制度は、経済的に自立するまでの一時的な支援を目的としています。適切な申請と書類の準備を通じて、必要な支援を受けることができます。

障害年金とは?

障害年金の種類と対象者

障害年金は、病気やけがなどで障害の状態にある人が、その障害により働く能力を失った場合に支給される公的年金制度です。日本では、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類が存在します。障害基礎年金は、国民すべてを対象としており、障害厚生年金は、厚生年金保険の加入者またはその被扶養者が対象です。

障害年金の対象者は、障害の程度が一定の基準を満たし、かつ申請時に必要な加入期間を有している方です。障害の程度は、医師の診断に基づき決定されます。

申請方法と必要書類

障害年金の申請は、最寄りの年金事務所または市区町村の窓口で行います。オンラインでの申請も可能ですが、書類の提出が伴うため、事前に確認が必要です。

申請に必要な主な書類は以下の通りです。

  • 年金手帳または基礎年金番号がわかる書類
  • 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明書など
  • 診断書
  • 収入がわかる書類(所得証明書など)
  • その他、障害の種類や申請者の状況に応じて必要な書類

障害年金の申請過程は複雑であり、必要書類の準備や手続きの進め方には注意が必要です。適切な書類の提出や正確な手続きを行うことが、スムーズな申請と適正な支給決定へとつながります。

生活保護と障害年金の違い

生活保護と障害年金は、ともに社会保障制度の一環として提供されていますが、その目的と支給基準には大きな違いがあります。
生活保護制度は、経済的に困窮し「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことが困難な人を支援することを目的としています。支給基準は、収入や資産が法律で定められた最低生活費以下であることが条件です。生活保護は税金を財源としており、必要な保護を受けながら自立を助長することを目指しています。 一方、障害年金は、病気や怪我が原因で日常生活や業務に支障が出るようになった人に対して、その障害の程度に応じて支給される制度です。障害年金の支給は、収入の有無に関わらず、障害の程度や種類に基づいて決定されます。目的は、障害を持つ個人が独立して生活できるように支援することにあります。

まとめると、

  • 目的: 生活保護は経済的困窮者を支援し、障害年金は障害を持つ個人の自立を支援。
  • 支給基準: 生活保護は経済的基準、障害年金は障害の程度。
  • 財源: 生活保護は税金、障害年金は公的年金制度からの支給。

生活保護を受けていても障害年金の受給要件を満たせば、障害年金を請求することが可能ですが、生活保護では障害年金も収入とみなされるため、その点には注意が必要です。

生活保護受給者が障害年金を申請する際の注意点

生活保護受給者が障害年金を申請する際には、いくつか重要な注意点があります。障害年金と生活保護は、それぞれが異なる目的で設けられている公的支援制度ですが、併せて受給することは可能です。しかし、その過程で考慮すべき点がいくつか存在します。

受給資格

生活保護を受けている方でも、障害年金の受給要件を満たしていれば申請できます。障害の程度が一定基準以上であること、必要な保険料の支払い期間があることなどが条件です。

影響

障害年金が支給されると、その金額は生活保護の収入として計算されます。その結果、生活保護の支給額が減額されることがあります。しかし、障害者加算の対象となり、結果的に収入が増える可能性もあります。

手続きの詳細

障害年金を申請するには、所属する年金事務所に必要書類を提出する必要があります。生活保護受給者の場合、その事実を申請時に明らかにし、所得状況を正確に報告することが重要です。 障害年金の申請や支給決定後は、生活保護の担当窓口にその旨を報告し、生活保護費の再計算を行ってもらう必要があります。また、障害年金の受給により生活保護の支給が停止されることがないよう、両制度間の支給額調整が大切です。 生活保護受給者が障害年金を申請する際には、受給資格の確認、生活保護への影響、手続きの正確な進行に注意することが重要です。不明点がある場合は、専門家や担当の年金事務所、生活保護の担当窓口に相談することをお勧めします。

当センターで実際によくいただくご質問について

質問1:生活保護を受けているが、障害年金も申請できるのか?

生活保護受給者でも、障害年金の受給要件を満たしていれば障害年金の申請が可能です。ただし、障害年金が支給されるとその額は生活保護の収入とみなされ、生活保護の支給額が調整されることがあります。

質問2:障害年金の受給が生活保護にどのような影響を与えるのか?

障害年金を受給すると、その額が生活保護費に含まれますが、障害者加算の対象となり生活保護費が増える場合もあります。しかし、障害年金と生活保護費の満額を同時に受け取ることはできません。

質問3:働いていると障害年金がもらえないのか?

働いている場合でも、障害の程度が受給資格を満たしていれば障害年金を受け取ることが可能です。働くこと自体が障害年金の受給資格に影響を与えるわけではありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

生活保護と障害年金は、それぞれが異なる条件と目的のもとで提供される公的支援制度です。生活保護は、経済的に困窮している人々が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるように支援するためのものです。一方、障害年金は、病気や怪我などで障害を持ち、その結果、労働能力が低下した人々を支援するために設けられています。

経済的に困窮している、または障害を持っている人々が、それぞれの支援制度を適切に活用するためには、正しい情報の理解と適切な手続きが必要です。

なお、多摩・八王子障害年金相談センターでは電話やメールで相談いただくことが可能です。申請や書類作成の流れに見通しがたたない場合はぜひご相談ください。

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小野 勝俊

初めまして、多摩・八王子障害年金相談センターを運営する「多摩ヒューマンサポート社会保険労務士事務所」の代表 小野勝俊と申します。 当事務所に相談することで、お客様の悩みが少しでも解決するよう私が精一杯サポート致します。 障害年金を受給し、新しい未来が築くことができるように一緒に頑張っていきましょう。