うつ病(鬱病)とは?
鬱病(うつ病)は、仕事や人間関係などの精神的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態のことです。
うつ病を克服するためには、早めに専門の医療機関に相談し、しっかりと休養をとることが大切です。
しかし、うつ病の治療のために休職、時には退職を余儀なくされることもあります。
こちらのページでは、うつ病をはじめとした精神疾患により収入が途絶えてしまった場合に利用することができる支援制度をご紹介します。特に公的な制度である障害年金について詳しく解説していきます。
うつ病で働くことができず日常生活における経済的負担でお悩みの方は障害年金の制度を利用して、働けない間のお金の心配を少しでも減らし、安心して療養に専念しましょう。
うつ病で働けなくなった時に受けられる支援制度
うつ病で仕事を休むことになったときや、休職・退職することになったときの経済的な支援制度をご紹介します。実際に受けられるかどうかはケースバイケースですが、ご自身に当てはまる制度があるかどうか、調べるきっかけになれば幸いです。
- 障害年金
障害年金は年金(国民年金・厚生年金・共済年金)を納めている方が受給できる制度です。うつ病の場合は認定基準に該当していれば給付を受けられます。
障害年金についてはあとの章で詳しく解説します。
- 傷病手当金(しょうびょうてあてきん)
健康保険組合の被保険者を対象に支給されます。病気やケガによって会社を休み、充分な報酬が受けられない場合の手当金です。会社を休むことになったときは気軽に健康保険組合に問い合わせてみましょう。
- 自立支援医療制度(じりつしえんいりょうせいど)
心身の障害を軽くするための医療費について、自己負担額を軽減する厚生労働省の公費負担医療制度です。継続的な通院や治療が必要な場合は利用を検討しましょう。
- 労災保険(ろうさいほけん)【2024年最新情報】
仕事中の怪我や病気について、その補償を得られる制度です。これまでうつ病は原因を特定することが難しいことから、労災保険が適用されにくい現状がありました。しかし、2023年12月には精神障害の労災認定基準が改められ、発病前のおおむね6ヶ月以内に業務による強い心理的負荷が認められること、それ以外に心理的負荷や個体側要因がないことなどが認められれば労災が認定されるとされています。
うつ病の原因が仕事にあるという強い自覚がある場合は、労働基準監督署か弁護士に相談してみましょう。
- 失業保険(しつぎょうほけん)
失職した人が次に就職するまでの一定期間、給付金を受けられる制度です。こちらは病気やケガの有無に限らず誰もが受給できます。一般的に失業保険と呼ばれていますが正式名称は雇用保険と言い、失業手当の正式名称は失業手当と言います。自己都合退職か会社都合退職か、また年齢や勤続年数にもよりますが、賃金日額の約50%~80%の基本手当が相当日数分給付されます。お近くのハローワーク(公共職業安定所)に問い合わせてみましょう。
- 特別障害者手当(とくべつしょうがいしゃてあて)
精神または身体に重度の障害をお持ちの方で、日常生活において常に介護を必要とされる方に支給される手当です。承認された場合は月額27980円を受給できます。お住まいの市区町村の窓口へ申請してください。
- 心身障害者医療費助成制度(しんしんしょうがいしゃいりょうひじょせいせいど)
精神または身体に障害をお持ちの方が病院などで受診した時、医療費の自己負担額を助成する制度です。各自治体で制度内容が異なるため、お住まいの市区町村の窓口へお問い合わせください。
- 生活困窮者自立支援制度(せいかつこんきゅうしゃじりつしえんせいど)
働きたくても働けない、住むところがないなど生活に困難を抱えている方に向けて、専門の支援員が相談者に寄り添いながら支援プランを作成し、専門機関と連携して支援を行う制度です。場合によって経済的な支援を受けることも可能です。
お住まいの市町村の自立相談支援機関の相談窓口にお問い合わせください。
- 生活保護(せいかつほご)
生活に困窮している人に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障するための支援制度です。日常生活に必要な最低限の費用や家賃などの補助を受けることができます。審査がありますのでお住まいの市区町村の生活保護課へご相談ください。
障害年金とは?基本的な仕組みを解説!
障害年金とは精神障害や重度の怪我、病気によって日常生活や就労生活が制限される場合に受給できる年金のことです。
発達障害や視力障害のような生まれつきの障害だけではなく、うつ病や癌といった突発的な病気でも受給対象になります。受給対象になる病気の一例は、以下のとおりです。
発達障害 | 自閉スペクトラム症、LD、自閉症、知的障害 等 |
身体障害 | 肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、内部障害、人工股関節 等 |
精神障害 | うつ病、統合失調症、双極性障害、てんかん、高次脳機能障害 等 |
病気 | メニエール病、癌、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患 等 |
上記に記載されていない病気や障害であっても、日常生活や仕事に支障が出ている場合は受給対象となるケースがあります。
年金と聞くと65歳以上がもらうお金という印象がある人もいるかもしれませんが、障害年金は65歳からもらうことができる老齢年金と違って自分自身の健康が万が一の際に生活を支援してもらえる国が運営する社会保障制度になります。
そのため65歳未満の方でも対象になるうえ、人によっては働きながら障害年金を受給することが可能です。
障害年金をもらうためには、
①初診日を明確にすること
②保険料の納付要件をクリアしていること(きちんと保険料を支払っていること)
③障害の程度が認定基準に該当していること
この3点が重要となります。保険料の納付はもちろんのこと、医療機関にかかったときはなるべく診断書や領収書を保存しておきましょう。そのうえで分からないことは私たちにいつでもお問い合わせください。
うつ病・精神疾患で障害年金はもらえる?認定条件を解説
まず前提として、「初診日要件」と「保険料納付要件」を満たしていることが必要です。これはどの傷病でも共通することです。その上で、病気や障害の状態が定められた基準に該当しているかどうかで、障害年金の支給や等級が決められます。
いくら症状が重くても、「初診日要件」や「保険料納付要件」を満たしていない場合は、残念ながら障害年金を受給することはできません。
初診日要件とは
初診日要件とは障害の原因となった傷病の初診日が、国民年金または厚生年金保険の被保険者期間中であることを証明するものです。
具体的には初めて医師等の診療を受けた日が記載された書類を意味します。
ここで注意が必要なのは、うつ病に関しては「うつ病です」と診断された精神科の受診日が初診日とは限らないという点です。
人によっては、初めて医師の診察を受けたきっかけが不眠や頭痛の症状であったため内科などを受診したものの、その後に心療内科や精神科で診察を受けた際に初めてうつ病と診断されるようなケースがあります。
この場合、障害年金の初診日とは、心療内科や精神科を受診した日ではなく、不眠や頭痛の症状で内科などを受診した日が初診日となります。
また、最初に診察した医師からは「自律神経失調症」と診断され、現在の病名とは別の病名と診断されていることもあります。
このような場合には、現在の病名との間に関連性が認められる場合は、例え初診証明の病名が違っていても問題はありません。
保険料納付要件とは
保険料納付要件とは、簡単に言うときちんと保険料を支払っているかの確認です。
初診日の前日において、初診日の属する月の2か月前までの被保険者期間についての保険料納付済期間と免除期間を合算した期間が加入期間の3分の2以上納められている、または、初診日の属する月の2ヶ月までの直近1年間に滞納期間がないことを意味します。
また20歳前に初診日がある場合は、そもそも国民年金は20歳から加入する制度であることから保険料納付要件は問われません。
うつ病の『障害認定基準』は?軽度では認められない?
うつ病がどのような状態のときに障害年金の対象となるかを示した『障害認定基準』について解説させていただきます。
最初にお伝えしたいことは、障害等級によって支給される障害年金の額が異なるという点です。うつ病は本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものです。
したがって、現在の症状のみによって認定することは不十分であり、発症時からの症状の経過及びそれによる日常生活や就労生活等の状態を十分考慮されたうえで総合的に判断され障害等級が決定されます。そのため「うつ病では障害年金はもらえそうもない」と自己判断せずに、プロにご相談いただくことが大切です。ぜひ迷った際は私たちにご相談ください。
認定基準3級は、初診日に加入していた年金制度が厚生年金保険(共済年金)の方が対象です。初診日に国民年金に加入していた方は、1級または2級に該当しないと障害年金が支給されません。
うつ病の障害認定基準【1級】
高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の症状があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返されたりするため、常時の援助が必要な場合。
うつ病の障害認定基準【2級】
気分・意欲・行動の障害及び高度の思考障害の症状があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返されたりするため、日常生活が著しい制限を受ける場合。
うつ病の障害認定基準【3級】…厚生年金(共済年金)加入者のみ
高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の症状があり、その症状は著しくないが、これが持続又は繰り返し、労働が制限を受ける場合。
上記の説明だけでは、どこにご自身が当てはまるか判断がつかないかもしれません。そこで、うつ病の認定基準には、医師による診断書が認定の際のひとつの基準となります。うつ病の診断書は既定のフォーマットがあり、以下の項目により何級に該当するかを具体的に判断します。
診断書(精神の障害用)の一部
上記は精神障害の診断書の一部です。まずこちらの左側「日常生活能力の判定」項目について診断されます。日常生活能力の判定とは、日常生活において大切な7つの場面において、適切に判断できるかを評価するものです。
日常生活能力の判定
(1)適切な食事
(2)身辺の清潔保持
(3)金銭管理と買い物
(4)通院と服薬
(5)他人との意思伝達及び対人関係
(6)身辺の安全保持及び危機対応
(7)社会性
上記は社会生活を送る・病を克服するうえで避けて通ることが難しい大切な場面です。この7つの場面において適切な判断ができるかどうかが、まずうつ病が重いかどうかの一つの診断基準となります。
次に右側の「日常生活能力の程度」について診断されます。日常生活能力の程度とは、「日常生活能力の判定」にあった7つの場面も含めて、さらに総合的に日常生活における障害の度合いを評価するものです。具体的には以下のようになっています。
(1)精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。
(2)精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。
(3)精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
(4)精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
(5)精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。
ここでの社会生活とは、金銭管理や身辺の清潔保持、他の人との協調性や交流、自発的発言や引きこもりの有無など多岐にわたります。
上記の「日常生活能力の判定」「日常生活能力の程度」の診断から、障害の程度を以下の表によって認定します。横軸は「日常生活能力の程度」、縦軸は「日常生活能力の判定」の4段階評価について、程度の軽い方から1~4の数値に置き換え、その平均を算出したものです。
上記の表を見ても、「自分がどこに該当するのかわからない!」という方がほとんどだと思います。
障害年金を受ける上で大切なことは、ご自身の状況を医師にはっきりと詳細に伝えることです。軽く伝えすぎても、重く伝えすぎてもいけません。ご自身で伝えることが難しいようであればご家族やご友人、同僚など身近な人から医師に伝えてもらうことも検討しましょう。
もしくは私たちにお気軽にご相談ください。
うつ病で障害年金を請求(申請)するときの注意点
うつ病での障害年金認定では、診断書裏面の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」が特に重要なポイントです。
このうち「日常生活能力の判定」については、障害年金はあくまで請求者本人の問題であることから、家族と同居する方であっても一人暮らしであると仮定して、医師が記載することになっています。
そのため、かかりつけの医師とのコミュニケーションが大切になってきます。
- 受診の際、ありのままの状況を話せていますか?
- 医師の前では元気に振る舞っていませんか?
このような場合は、日常生活能力がきちんと診断書に反映されない可能性があります。
そのようにならないために、普段から医師とコミュニケーションを取り、診察の際には医師にしっかり日常生活の状況を伝えるようにしましょう。
診断書を依頼する際には、日常生活状況をまとめたメモを渡したり、ご家族など、普段の様子を知っている方から説明してもらったりするのも有効な方法の一つです。
うつ病で障害年金を受給するには、様々な要件をクリアしなければいけません。
また、一度提出した書類は「やっぱり変更しますので提出した請求書を返して下さい。」というわけにもいきません。
とにかく準備は慎重に、ご自分の納得のいく書類を整えることが大切です。
しかし、複雑な書類が多く書類準備が面倒に思われる方や精神的・身体的症状が重く外出が思うようにできないため障害年金を最後まで申請できるかどうか不安であるという方もいらっしゃるかと思います。
そんな時は、障害年金の専門家がいる多摩・八王子障害年金相談センターへ是非お問合せください。
うつ病以外に、認定の対象となる精神疾患が併存しているとき
うつ病以外に、双極性障害などの認定の対象となる他の精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定されます。
日常生活能力等の判定にあたっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断されます。
現在、労働に従事している者については、労働に従事していることをもって直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力が判断されます。
また、人格障害は原則として認定の対象とはなりません。
うつ病の際の障害年金の申請手続きの進め方
うつ病で障害年金を申請するときのおおまかな流れは、次の通りです。
- 初診日を調べる
- 医師に診断書の作成を依頼する
- 「病歴・就労状況等申立書」を作成する
- 住民票など必要書類を揃えたうえで障害年金請求書を作成し申請する
ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
多摩・八王子障害年金相談センターで面談・ヒアリング
多摩・八王子障害年金相談センターにて障害年金の申請を行うにあたり、まずは事務所までご来所頂き、これまでの病気の通院履歴はじめ日常生活状況や就労状況等について、十分なヒアリングを行います。
病気が重く外出ができないため来所できない方など必要に応じては、出張相談を承っております(遠方の場合には別途交通費などを頂く場合があります。)
また定期的に各地で無料障害年金相談会を開催していますので、お時間の合う方はそちらをご利用していただいても結構です。
初回面談は1時間前後で、初回面談料はホームページ記載通り無料ですので、ご安心下さい。
面談当日は、発病時から現在までのご病状を伺いながら障害年金の制度や申請手続きの流れなどをご説明させて頂きます。
当センターに相談することで、無事に障害年金が受給できるように精一杯サポートさせて頂きますので一緒に頑張っていきましょう。
事務所概要
名 称 | 多摩・八王子 障害年金相談センター運営:多摩ヒューマンサポート社会保険労務士事務所 |
所 長 | 社会保険労務士 小野 勝俊 |
住 所 | 〒192-0084東京都八王子市三崎町4-11 トーネンビル5F |
電話番号 | 042-683-0765 |
うつ病の受給事例
こちらでは、うつ病の相談者様が当センターに相談して障害年金を受給できた実際の受給事例を紹介しております。
一言でうつ病といっても、発症する原因や症状などは人によって異なります。
ご自身に近い受給事例を見て頂くことで、申請のサポートを依頼しようか迷われている方は安心して相談して頂けるものと考えますので興味のある方は受給事例を是非ご覧になってみて下さい。
尚、個人情報保護の観点から氏名や住所などは伏せて掲載させて頂いております。
小野 勝俊
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