「障害年金って、いつから受け取れるんだろう」「申請してからどれくらいで振り込まれるの?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
障害年金の「いつからもらえるか」という疑問には、実は2つの意味があります。ひとつは法律上の権利が始まる月(受給権の発生月)、もうひとつは実際に口座に振り込まれる日です。この2つを混同すると、「なぜまだ振り込まれないのか」と余計な不安を抱えることになります。
この記事では、障害年金の受給開始時期を請求の種類別にわかりやすく解説し、初回振込までのスケジュールや支給日のしくみまで、必要な情報をまとめてお伝えします。
障害年金の「いつからもらえるか」には2つの意味がある
障害年金を考えるうえで、まず次の2点を区別して理解することが大切です。
受給権発生月とは、法律上、障害年金を受け取る「権利」が生まれる月のことです。この月の翌月分から年金が支給される計算になります。
初回振込日とは、実際にあなたの銀行口座に最初のお金が入金される日のことです。申請から審査、支払い手続きが完了するまでの期間があるため、権利が発生してからすぐに振り込まれるわけではありません。
この2つの違いを理解することが、不安を解消し、生活設計を立てるための第一歩です。
受給権はいつ発生するか?請求の種類で異なる3つのパターン
障害年金の受給権がいつ発生するかは、どの方法で請求するかによって変わります。主に以下の2つのパターンがあります。
パターン① 認定日請求(障害認定日に申請する)
障害認定日とは、原則として初診日から1年6ヶ月が経過した日のことです。この日時点で障害の状態が一定の基準を満たしていると認められた場合、障害認定日の翌月分から年金が支給されます。
たとえば、障害認定日が2024年10月10日であれば、2024年11月分から受給権が発生します。
また認定日請求は「遡及請求」とも言われ、障害認定日時点の状態に遡って請求することができます。認定日請求が認められれば、障害認定日の翌月分に遡って年金が支給されますが、遡れるのは時効により最大5年分が上限となります。
過去に遡って受給できる分は、初回の振込時にまとめて支払われます。
パターン② 事後重症請求(障害認定日時点では基準を満たさず、その後悪化した場合)
障害認定日には症状が軽く基準に該当しなかった方が、その後症状が悪化して障害状態に該当するようになった場合に行う請求です。この場合、請求した月の翌月分から年金が支給されます。
たとえば、1月31日に請求した場合は2月分から、2月1日に請求した場合は3月分からの支給となります。たった1日の差で1ヶ月分の年金を失ってしまうため、事後重症請求に該当する方は1日でも早く手続きを始めることが重要です。なお、この請求は原則として65歳になる誕生日の前々日までに行う必要があります。
| 請求の種類 | 受給権が発生する時期 |
|---|---|
| 認定日請求(遡及請求) | 障害認定日の翌月から(最大5年分) |
| 事後重症請求 | 請求した月の翌月から |
障害認定日の特例 1年6ヶ月を待たずに請求できる場合がある
「初診日から1年6ヶ月は必ず待たなければならない」と思っている方も多いですが、実はそうではありません。特定の治療や状態に当てはまる場合は、1年6ヶ月を待たずに障害認定日が認められる「特例」があります。代表的なものを以下に示します。
- 人工透析療法:透析を受け始めてから3ヶ月が経過した日(初診日から1年6ヶ月以内の場合)
- 人工関節・人工骨頭:置換した日
- 心臓ペースメーカー・ICD:装着した日
- 人工弁:装着した日
- 脳梗塞・脳内出血:初診日から6ヶ月経過後、医学的に機能回復が望めないと認められた日
- 切断または離断による肢体の障害:切断または離断した日
この特例を知っているかどうかで、受給開始が1年以上早まるケースもあります。ご自身の状況が当てはまらないか、ぜひ一度確認してみてください。
申請から初回振込までどれくらいかかるか
受給権が発生してから、実際に最初の振込がされるまでには一定の時間がかかります。全体的な流れは以下のとおりです。
審査期間の目安
日本年金機構では審査の標準的な期間(サービススタンダード)を定めており、障害基礎年金で約3ヶ月、障害厚生年金で約3ヶ月半とされています。実際の平均日数は基礎年金で52.5日、厚生年金で82日程度というデータもあります。
年金証書の到着と初回振込
審査が終わると日本年金機構から「年金証書」が送付されます。年金証書は請求からおおむね90日後に届きます。初回の年金は、年金証書が届いてから50日以内に振り込まれます。
証書に記載されている「裁定日」が月の前半であれば翌月15日ごろ、月の後半であれば翌々月15日ごろが初回支給日の目安です。
全体では、申請から初回振込まで障害基礎年金で約4ヶ月半、障害厚生年金で約5ヶ月が平均的な目安です。
なお、審査が長引いても、初回振込時に受給権発生月の翌月分から遡って支払われるため、審査に時間がかかっても受給額が減ることはありません。
障害年金の支給日 いつ口座に入金されるか
障害年金の定期的な支給日は、偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の15日です。1回の振込で2ヶ月分がまとめて支払われます。15日が土曜・日曜・祝日の場合は、その直前の営業日に前倒しで振り込まれます。
初回のみ、奇数月に振り込まれることがあります。初回振込が奇数月になるかどうかは、支給決定のタイミングによって異なるため、早めに知りたい場合は年金事務所に問い合わせるか、届く「年金支払通知書」を確認してください。
障害年金をもらうための3つの受給要件
障害年金を受け取るためには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。
要件① 初診日要件
障害の原因となった病気やけがで、初めて医師の診療を受けた日(初診日)が、一定の年金制度に加入していた期間中にあることが必要です。
国民年金に加入中であれば「障害基礎年金」、厚生年金に加入中であれば「障害厚生年金」の対象となります。なお、20歳前に初診日がある場合や、60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間でも対象になる場合があります。
要件② 保険料納付要件
初診日の前日において、以下のいずれかを満たしていることが必要です。
- 初診日のある月の前々月までの加入期間のうち、3分の2以上が保険料納付済みまたは免除期間であること
- 初診日において65歳未満で、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと
なお、20歳前に初診日がある場合は、この保険料納付要件は問われません。
要件③ 障害の程度
障害認定日において、法令で定める障害等級(1級・2級・3級)に該当していることが必要です。障害基礎年金は1・2級のみ、障害厚生年金は1〜3級が対象です。
受給できる年金額の目安(2026年度)
障害基礎年金の年間支給額(2026年度・67歳以下の新規裁定者)は以下のとおりです。
- 1級:1,059,125円(月額約88,260円)
- 2級:847,300円(月額約70,608円)
子の加算として、18歳到達後最初の3月31日までの子(または1・2級の障害状態にある20歳未満の子)がいる場合、子1人・2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円が加算されます。
障害厚生年金の額は、厚生年金加入中の報酬額と加入期間をもとに算出された「報酬比例の年金額」が基準となります。ただし、障害等級3級に該当した方は、最低保障額として635,500円(月額約52,958円)が支給されます。また、障害等級1・2級の方には配偶者加算(243,800円)も加算されます。
受給開始を早めるために知っておくべきポイント
障害年金を一日でも早く、スムーズに受け取るために、以下の点を押さえておきましょう。
まず、認定日の特例に該当しないか確認することが大切です。人工透析や人工関節など、1年6ヶ月を待たずに申請できるケースがあります。知らないまま待ち続けることは大きな損失です。
次に、事後重症請求に該当する可能性のある方は、1日でも早く手続きを始めることが経済的な利益を守ります。請求日が遅くなるほど、支給開始も後ろにずれていきます。
また、遡及請求は時効が5年であるため、障害認定日から5年以上経過している場合はすでに一部の受給権が失われている可能性があります。気づいた時点で早急に動くことが重要です。
障害年金の手続きは書類が多く、複雑です。不安な方は社会保険労務士(社労士)への相談も選択肢のひとつです。
まとめ
障害年金がいつからもらえるかは、請求の種類によって異なります。
認定日請求・遡及請求では障害認定日の翌月から、事後重症請求では請求した月の翌月から受給権が発生します。ただし、審査や手続きがあるため、実際の初回振込は申請から4〜5ヶ月後が目安です。
定期的な支給日は偶数月の15日で、2ヶ月分がまとめて振り込まれます。
申請手続きは複雑に感じられるかもしれませんが、適切なサポートを受けながら進めることで、きっと道筋が見えてきます。経済的な不安を軽減し、これからの治療により前向きに取り組むために、障害年金制度を有効活用していただければと思います。
多摩・八王子障害年金相談センターでは電話やメールでご相談いただくことが可能です。障害年金のことでお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
小野 勝俊
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