人工透析を受けながら生活している方にとって、医療費や生活費の負担は大きな課題となっています。実は、透析患者の方も条件を満たせば障害年金を受給できる可能性があることをご存知でしょうか。
この記事では、人工透析を受けている方が障害年金を申請する前に押さえておくべき3つのポイントを、専門家の視点から詳しく解説します。
人工透析を受けている方へ|障害年金の受給に向けた第一歩
人工透析を受けている方が障害年金を受給するための道筋は決して複雑ではありません。大切なのは、制度の仕組みを理解し、適切な手順で申請を進めることです。
多くの透析患者の方が「自分は対象になるのだろうか」という疑問を抱えています。実際には、透析治療を受けていること自体が障害年金の対象となる可能性を示しており、適切な申請により経済的なサポートを受けることができます。
障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事に支障をきたしている方への重要な社会保障制度です。透析治療を受けながらも、これまで通りの生活を維持するために、まずは制度の概要から理解を深めていきましょう。
【ポイント1】まず知っておきたい透析治療と障害年金の関係性
透析治療を受けている方の多くが障害年金の対象となる可能性があり、適切な申請により経済的な支援を受けることができます。ここでは、透析患者の方が知っておくべき制度の基本的な仕組みについて解説します。
人工透析は障害年金の対象となる可能性があります
人工透析を受けている方は、腎機能の著しい低下により日常生活に制限が生じているため、障害年金の対象となる可能性があります。具体的には、週3回の透析治療により仕事や日常生活に支障をきたしている状況が考慮されます。
たとえば、透析治療のために週15時間程度の時間が必要となり、体力的な負担から以前と同じように働くことが困難になっているケースが該当します。また、透析後の疲労感や食事制限なども、日常生活への影響として評価されることがあります。
障害年金では、身体の機能だけでなく、社会生活における制約も重要な判断基準となっています。透析治療を受けながらも前向きに生活している方でも、制度上の要件を満たしていれば受給の可能性があるのです。
受給に向けて越えるべき3つの基本要件とは
障害年金を受給するためには、以下の3つの基本要件をすべて満たす必要があります。
初診日要件では、腎疾患で初めて医療機関を受診した日が明確である必要があります。保険料納付要件では、初診日前の一定期間において年金保険料が納付されていることが求められます。障害状態要件では、現在の透析治療の状況や日常生活への影響が一定の基準を満たしている必要があります。
これらの要件は一見複雑に感じられるかもしれませんが、透析治療を受けている多くの方が満たしている可能性があります。特に、長期間にわたって治療を続けている方であれば、適切な書類を準備することで申請が可能となるケースが多いのです。
【ポイント2】受給の可否を左右する3つの基本要件を詳しく解説
障害年金の受給には3つの基本要件があり、これらをすべて満たすことが前提となります。透析患者の方が特に注意すべきポイントを含めて、各要件について詳しく説明していきます。
要件1:あなたの初診日はいつですか?
初診日とは、腎疾患に関して初めて医療機関を受診した日のことです。この日付は障害年金の申請において最も重要な基準点となり、保険料納付要件や受給する年金の種類を決定する基礎となります。
具体的には、健康診断で異常を指摘され、その後腎臓専門医を受診した日が初診日となることが多いです。また、他の病気で通院中に腎機能の低下が発見された場合は、その病気の初診日が基準となる場合もあります。
初診日の証明には、受診状況等証明書が必要となります。古い記録が残っていない場合でも、健康保険の給付記録や母子手帳など、様々な資料を用いて初診日を証明することが可能です。記録が曖昧な場合は、早めに年金事務所で相談することをお勧めします。
要件2:年金の保険料は納付していますか?
保険料納付要件では、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上必要です。
たとえば、会社員として厚生年金に加入していた期間や、国民年金の保険料を納付していた期間、学生納付特例や免除を受けていた期間などが該当します。未納期間が多い場合でも、直近1年間に未納がなければ特例措置により要件を満たすことがあります。
保険料の納付状況が不明な場合は、年金事務所で「ねんきん定期便」や「被保険者記録照会回答票」を取得することで確認できます。過去に未納期間があっても、後納制度を利用して納付することで要件を満たせる場合もありますので、諦めずに相談してみましょう。
要件3:障害の状態を証明できますか?
障害状態要件では、現在の透析治療の状況や日常生活への制約が、障害等級に該当する程度である必要があります。人工透析を受けている方の多くは、障害等級2級に該当する可能性があります。
具体的には、週3回の透析治療により労働能力が著しく制限されている状態や、透析による身体的負担から日常生活に支障をきたしている状況が評価されます。また、透析導入前後の生活の変化や、現在の体調管理の必要性なども考慮されます。
この要件の証明には、主治医による診断書が最も重要な役割を果たします。診断書では、透析の実施状況、検査数値、日常生活の制限などが詳細に記載されるため、医師との十分な相談が必要です。
【ポイント3】あなたの場合はいくら?障害年金の受給額の目安
障害年金の受給額は、加入していた年金制度や家族構成によって決まります。ここでは、透析患者の方が実際に受け取れる金額について説明します。
障害基礎年金と障害厚生年金で受け取れる額が変わります
障害基礎年金は、初診日に国民年金に加入していた方や、20歳前に初診日がある方が対象となります。2級の場合、令和7年度現在、年額約83万円が基本となり、18歳未満の子がいる場合は加算があります。
障害厚生年金は、初診日に厚生年金に加入していた方が対象で、障害基礎年金に加えて厚生年金部分も受給できます。厚生年金部分の額は、これまでの給与や加入期間によって計算されるため、個人差が大きくなります。
たとえば、会社員として長年働いていた方であれば、障害基礎年金と障害厚生年金を合わせて年額100万円以上受給できるケースも多くあります。また、配偶者がいる場合は配偶者加給年金も加算されるため、さらに受給額が増加します。
障害年金の申請を考えた際には専門家への相談も一つの方法です
障害年金の申請手続きは複雑で、初めての方には難しく感じられることも多いものです。そのような場合は、専門家のサポートを受けることも有効な選択肢の一つとなります。
社会保険労務士に相談することで得られる視点
社会保険労務士は障害年金申請の専門家として、豊富な経験と知識を持っています。特に、透析患者の方の申請については、医学的な知識と制度的な理解の両方が必要となるため、専門家の視点が役立ちます。
社会保険労務士に相談することで、あなたの状況に最適な申請戦略を立てることができます。また、書類作成のサポートや医療機関との調整なども依頼することが可能です。
相談料や報酬については事前に確認し、サービス内容と費用のバランスを検討した上で依頼するかどうかを決めることが重要です。無料相談を実施している事務所も多いため、まずは気軽に相談してみることをお勧めします。
ご自身で手続きを進める場合との違い
専門家に依頼する最大のメリットは、申請手続きの負担軽減と専門的なアドバイスを受けられることです。書類作成や医療機関との調整など、時間のかかる作業を代行してもらうことができます。
一方、ご自身で手続きを進める場合は、費用を抑えることができ、自分のペースで申請を進められるというメリットがあります。
どちらの方法を選択するかは、あなたの状況や希望に応じて決めることが大切です。重要なのは、申請に向けて一歩を踏み出すことであり、どの方法であっても適切なサポートを受けながら進めることができるのです。
多摩・八王子障害年金相談センターに障害年金申請を依頼する3つのメリット
メリット1:専門家が受給可能性を的確に診断
「自分の症状で障害年金をもらえるのだろうか?」という不安は、申請を考える上で一番の悩みどころです。当センターでは、障害年金を専門とする社会保険労務士が、ご相談者様の症状や状況を丁寧にヒアリングし、豊富な経験と実績に基づいて受給の可能性を的確に判断します。一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。
メリット2:複雑な手続きをワンストップでサポート
障害年金の申請には、専門的な知識と複雑な書類準備が必要です。当センターにご依頼いただければ、経験豊富な社会保険労務士が裁定請求の手続きをすべて代行し、受給決定までワンストップで丁寧にサポートします。面倒な手続きは専門家に任せ、安心して治療に専念いただけます。
メリット3:【着手金0円】不支給の場合は費用不要の安心な料金体系
傷病により働くことが難しく、経済的な不安を抱えている方も少なくありません。当センターでは、ご依頼いただきやすいように、ご契約時の着手金は一切不要です。万が一、障害年金が不支給となった場合、費用はいただきません。報酬は、年金が決定した後の初回振込額の中からお支払いいただく完全成果報酬制ですので、費用面の心配なく安心してご依頼いただけます。
ご自身の状況で障害年金を受給できるか不安な方、少しでも受給の可能性を上げたいとお考えの方は、ぜひ一度、多摩・八王子障害年金相談センターへご相談ください。
当センターの透析での障害年金受給事例
当センターでの、実際に透析での障害年金受給事例をご紹介します。
概要
50代 男性
病名:糖尿病性腎症
結果:障害厚生年金2級
依頼者の状況
Iさんは現在58歳で、2年ほど前に会社の健康診断で血液検査を受けた際に血糖値に異常値が出たため病院で検査を受けるように指示されていましたが、当時は仕事が忙しく病院に行くことができませんでした。
その後、健康診断から半年ほど経過した頃に突然、仕事中に意識を失って倒れたりするなど仕事が続けられる状況ではなくなったため、会社を退職せざるをえなくなりました。
退職後も体調が回復しなかったため直ぐに近くの病院に行き精密検査を受けた結果、「糖尿病性腎症」と診断され、薬物治療を行うことになりました。
通院後も1年以上に渡り薬物治療を行いましたが、症状は全く回復せず身体が浮腫んで仕事をしたくてもできない状態が続きました。
そのため、主治医から治療方法を改めた方が良いのではないかと言われ、総合病院に紹介状を作成してもらい総合病院で改めて受診した結果、透析治療の必要があることが分かり、現在は週に3回、人口透析を行いながら治療に努めている状態です。
そのような中、透析治療の医療費の助成を申請する際に、市役所の担当者から障害年金の制度の説明を受けましたが、説明された内容が複雑で理解できず自分で手続きすることは難しいと考えたため、専門家である社会保険労務士に障害年金の申請手続きをサポートして欲しいと考え多摩・八王子障害年金相談センターに問い合わせをしました。
受任から受給まで
Iさん本人と面談しヒヤリングした結果、病院を変えて透析治療を始めたばかりではあるものの、今後も継続的に透析治療を行っていく必要性があることからフルタイムでの就労は難しく、現在は経済的負担が大きいことから兄弟から金銭の援助を受けながら日常生活を過しているとのことでした。
そのような状況を踏まえ、主治医からも今後も透析治療は必要であると言われており、透析治療により労働に制限がかかっていることに加え日常生活にも支障をきたしているものと判断できたため障害年金の受給できる可能性がある旨を伝え、書類を揃えて申請した結果、障害厚生年金2級を受給するに至りました。
まとめ:経済的な不安を軽くし、これからの治療に専念するために
人工透析を受けている方にとって、障害年金は経済的な負担を軽減し、治療に専念するための重要な制度です。適切な手続きを行うことで、多くの方が受給の可能性を持っています。
今回解説した3つのポイントを参考に、まずは年金事務所での相談から始めてみましょう。初診日の確認、保険料納付状況の把握、現在の障害状態の整理など、一つひとつ着実に準備を進めることが大切です。
申請手続きは複雑に感じられるかもしれませんが、適切なサポートを受けながら進めることで、必ず道筋が見えてきます。経済的な不安を軽減し、これからの治療により前向きに取り組むために、障害年金制度を有効活用していただければと思います。
多摩・八王子障害年金相談センターでは電話やメールで相談いただくことが可能です。障害年金のことでお悩みがあればぜひお気軽にご相談ください。

小野 勝俊

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